■接待の定義
接待とは「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいう。(法第2条第3項)
この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等 慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため、営業者側の積極的な行為として相手を特定し、下記3の各号に掲げるような興味を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又はグループに対して、単なる飲食行為に伴う薬務の提供を超える程度の会話やサービス行為を行うことである。
■接待の主体
通常の場合、接待を行うのは営業者やその雇用している者が多いが、それに限らず料理店で芸者が接待する場合、旅館・ホテル等でバンケットクラブのホステスが接待する場合、営業者との明示又は黙示の契約・了解のもとに客を装った者が接待する場合をも含み、女給、仲居、接待婦等その名称の如何を問うものではない。また、接待は通常、異性にすることが多いが、それらに限るものではない。
■接待の判断基準
(1)談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。これに対して、お酌をしたり、水割りを作ったりはするが、速やかにその場を立ち去る行為、客の後方に待機、またはカウンター内で単に客の注文に応じて酒類を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交礼儀上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は接待に当たらない。
(2)踊り等
特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室または客室内の区画された場所において、歌舞音曲、ダンス、ショー等を見せ、または聞かせる行為は接待に当たる。これに対して、ホテルのディナーショーのような不特定多数の客に対して同時に、踊り、ダンス、ショーを見せたり、歌若しくは楽器を演奏する行為は接待に当たらない。
(3)歌唱等
特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、またはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくはほめそやす行為は接待に当たる。または客と一緒に歌う行為も原則として接待に当たる。これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、若しくはほめそやす行為、不特定多数の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為、または歌の伴奏のため楽器を演奏する行為は接待に当たらない。
(4)遊戯等
客と共に、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は接待に当たる。これに対して、客ひとり、または客同士で遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は、直ちに接待に当たるとは言えない。
(5)その他
客と身体を密着させたり、手を握る等、客の体に接する行為は接待に当たる。ただし、社交礼儀上の握手、酔客の介抱のため必要な限度で接触する等の行為は接待に当たらない。また客の口元まで飲食物を差し出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。これに対し、単に飲食物を運搬、または食器を片づける行為、客の荷物、コート等を預かる行為は接待に当たらない。